知っておきたい和食のマナー①

和食店でのマナー

今日は和食のお店で働くスタッフの目線から
和食店での立ち居振る舞い、私たちが見ているところをご紹介します。

長くなるので今日は服装からお箸を握るまで。
次回和食のいただき方を書いていきます。

高級和食店に行くときの心がけ

服装

ある程度以上のお店になると一応のドレスコードを設けているお店もあります。

ただフレンチレストランのようにジャケット着用が義務付けられているお店は多くありません。

基本的にはある程度(ビーチサンダルや海パンは除く)のお出かけ用の服装ならOKなところが多いです。
高級ホテルや老舗料理屋さんでもTシャツだからと入れないようなことはありません。

なるべくお店に”格”を合わせるという気持ちを持っていればよほどでない限り大丈夫です。

富裕層のお客様の中には個性的な服装の方、たくさんいらっしゃいます。

もちろんビシッとスーツを着こなしてスカーフを巻いていたり、ハットをかぶっていらしたり、
お洒落な方も多いですが
キャラクターのTシャツは某ブランドとのコラボ商品だったりと特徴のあるお洋服、着物・・・。

実際国内の高級ホテルの和食のレストランで働いていたときは
お部屋のバスローブとお部屋のスリッパのみお断りしていました。
※旅館は大丈夫ですが、ホテルは部屋着のままのレストランの来店をお断りするところが多いです。

男性はジャケットをお召しになるとよりいいかと思います。

和食のお店を予約もしくはお呼ばれした時は、
そのお店がテーブル席なのか、お座敷なのか確認する必要があります。

チェックポイントは
✅正座ができる服装かどうか
✅靴を脱いだ状態でつま先まで見られても問題ないかどうか

上記のチェックポイントはお座敷があるお店の場合です。

お座敷のお部屋の前で、
『え、靴脱ぐの?!』と焦ってらした方、たくさん見てきました。

やっぱりどれだけスーツをカッコよく着こなしていてもボロボロの靴下を見ると残念に思います。

靴下といえば見落としがちなのが靴下のにおいです。
お座敷の料理屋さんは個室になっているところも多いです。思っている以上にニオイは気になりますので直前に履き替えるなどしっかり対策をしましょう。

本来女性は裸足はフォーマルの場では似合いません。ストッキングの着用が望ましいです。
ストッキングも素足と同じと見られる、とおっしゃる方もいらっしゃいますが
お茶会などの和の本格的な行事以外、ましては料理屋さんでは全然大丈夫です。

テーブルやカウンター席での女性の靴を脱いで足をブラブラするのは控えましょう。パンプスは痛くてもなるべく脱がないよう心がけてください。結構見られています。

☆香り

それから一番注意してもらいたいこと、

それは香水のにおいです。
香水の香りは想像以上にきつく香ることも多く、お料理の邪魔をします。

フレンチやイタリアンでもワインを扱っているので、席と席が近いお店では控えるべきだと思いますが
和食は繊細なお出汁の香り、お椀から溢れる柚子の香り、魚を焼く時の香ばしい香り・・・

本当に目で見て香りを楽しんで、その香りと共に味わっていただくお料理です。
過度の香水のつけすぎは隣のお客様に迷惑になってしまいます。

そして、和食のお店に過度の香水をつけていらっしゃる方は、次回から端のお席に案内されてしまうかもしれません。香水をお召しになる際は控えめにしましょう。

和食を食べるときのマナー

✅おしぼり

まずは着席すると大体日本ではおしぼりが出てきます。

おしぼりとは手を拭くものです。顔や頭、首元を拭きたくなってもグッと我慢しましょう。

口元を拭くときはナフキンや持参するお懐紙を使ってください。

✅口紅

お連れの男性がお手洗いに立つたびにお席で口紅を塗り直す女性の方がよくいらっしゃいますが
お化粧室に立った際に塗り直した方がスマートに見えます。

ワインを飲むグラスにも口紅がつきます。油分が多いのでとても取れにくく、
途中で気になる方も多いかと思いますが、グラスをおしぼりで拭いたりせず
本当に気になる時だけ指先でつまむように拭います。
なるべくグラスの同じ位置から飲むようにすると汚れるところが一箇所になるのでスマートです

ただ飲んでいるグラスの見た目はどうしても美しくなくなりますので、口紅はお食事終わりに塗り直されるのが一番いいかと思います。

口紅がなくとも美味しそうに召し上がる女性のお客様は美しいですよ。

✅お飲み物

日本ではお茶は無料という風習があり、高級な料理屋さんでもお茶を飲まれる方も少なからずいらっしゃいます。
お酒を召し上がらない方も多いと思うので一概には言えませんが
日本料理、会席料理というのは本来お酒を楽しむために作られるお料理です。

家で飲まれるよりは多少コストパフォーマンスが劣りますが、お店のスタッフがお料理に合うように真剣に書いているドリンクメニューですので
スタッフのおすすめを一杯でも楽しんでいただけると嬉しいです。

また、お茶を飲まれるときにもぜひ
『おい、お茶ちょうだい』『お茶でいいです』『お茶おかわり』
ではなく、『温かいお茶いただけますか』とお声がけくださるとこちらも美味しく淹れようと思います。

逆にどれだけ楽しい時間でお酒が進んでしまっても”止め碗”が出たらお酒はストップしましょう。

お酒を飲んでいる最中に店員さんに「お食事お持ちしてよろしいですか」と聞かれた時は
「お酒はもうこれ以上要らないですか」という意味も含んでいます。

もう少し飲みたいようであれば、「あと◯合飲んだら持ってきてください」とお願いすればOKです。

✅お写真について

SNSも発達してお料理のお写真を撮られる方がとても多くなりました。

和食店の中には撮影禁止のお店が多少なりとも存在します。

お互いの気持ちの良い空間のために撮影許可を取っていただくことはこのご時世必須になってきました。

「料理のお写真撮ってもいいですか」これだけでOKです。たいていのお店は快くOKしてくださいます

また、スマートフォンの何度もテーブルに置く行為はテーブルを少なからず傷つけます。

お寿司屋さんの一枚板の素敵な木のカウンターで召し上がる際はスマートフォンはテーブルに置かないようにしましょう。

✅お箸の扱い方

お箸の真ん中に箸帯が巻いてあるお箸の取り方を知らない方が多いなという印象です。

帯付きのお箸は一本スッと抜くと綺麗にお箸が抜けます。

お箸を抜いた箸帯を箸置きの横に置くと上級者に見えます。というか、私自身新人の頃、箸帯を箸置きの横に置く人は和食を食べ慣れているから気をつけなさいと教えられました。

お箸の扱い方にも気をつけましょう。お箸の持ち方は綺麗であるに越したことはないですが、
特にタブーと言われる
☆寄せ箸
☆渡し箸
☆ねぶり箸
☆差し箸
など普段から気をつけるようにすれば料理屋さんで変に気を使わず食べられます。

✅器やお椀の扱い方

ご存じの方も多いかと思いますが、和食器とはとても高級なものです。

できる限り結婚、婚約指輪以外の手の周りのアクセサリーは着用しない方が望ましいです。

小さなおちょこや小付けでも8,000-10,000円など小さくてもお高いものも多いです。

高級な和食料理屋さんはお料理ももちろんですが、器に力を入れています。美しい器も込みのお値段なので和食器を楽しめると和食の料理屋さんも3倍楽しくなりますよ。

素敵な器に出会った時は、「素敵な器ですね」と店主にお声がけください。

思わぬサービスが出てくるかもしれませんし、いろんな話に花を咲かせることができるかもしれません。

次回はお料理の食べ方にフォーカスして書いていきたいと思います。


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